〈あざみ野まなびの場〉とは

 そもそも、〈学びプロジェクト〉という私的な企画があります。

 〈学びプロジェクト〉というのは、長年予備校・塾業界にかかわってきた私(大前:あざみ野塾代表)が、50歳で引退するのを機に、高校生の「学び」を見直そうと始めたものです。2012年のことです。

 高校生の「学び」を見直すためには、教わる側(高校生)だけでなく教える側(高校の先生)にもかかわる必要があります。そこで、高校生へのアプローチとして〈あざみ野塾〉を、高校の先生へのアプローチとして〈学びネットワーク〉を立ち上げました。

 ※私は、予備校業界の人間としては珍しく、教科書会社とかかわっていたので、高校の先生とも交流がありました。〈学びネットワーク〉は、そうした先生たちに対して、私が予備校講師としてもっている現代文の読解や解答の方法についてレクチャーする催しです。コロナ禍もあって現在は休止状態になっていますが、折りを見て再開できれば、と思っています。

 私は、もう25年も横浜に住んでいます。〈学びプロジェクト〉では、当初から、横浜、特にあざみ野に対して、何か地域貢献できないか、と考えていました。〈学びプロジェクト〉と正式に名付ける前には「project azamino」という仮称をつけていたくらいです。塾名に「あざみ野」という冠を乗っけたのもそうした願いがあったからです。
 が、それを実現させる条件がなかなか整いませんでした。

 〈あざみ野塾〉は、高校生に「学びの場」を定額で提供しています。1週間毎日勉強しに来てもいい、専門講師による授業をライブでも映像でも受けられる、卒業生スタッフが質問や相談にのってくれる、、、という環境を整えたために、〈あざみ野塾〉の料金は、時間あたりにすると割安だとしても、月額にすると決して安くありません。
 結果的に、〈あざみ野塾〉の提供する「学びの場」には経済的な壁がありました。

 しかし、経済的に恵まれない高校生のなかにも、勉強したい、大学に行きたい、と思っている人はたくさんいるはずです。そうした高校生に「学びの場」を提供したいと、〈学びプロジェクト〉が始めた新たな試みが〈あざみ野まなびの場〉です。
 たまたま常設の教室を二つに増やせたので、その空き空間、空き時間を使えば、何らかの「学びの場」を提供できるのではないか、と考えました。専任のスタッフはもちろん、大学生や大学院の卒業生スタッフも、ボランティアとして手伝ってくれる予定です。
 ただ、私たちができることは、最低限のことです。週1の最大でも80分×3コマという時間のなかで、できることはかぎられています。が、その週1かかわることで、勉強のきっかけを与えたりモチベーションを上げたりしてあげたい。そして、(私たちがかかわらない、日曜日以外の)「日常の勉強」を自分でできるようにしてあげたい。と、考えています。

 が、そこから〈あざみ野塾〉に勧誘しよう、などとはまったく考えていません。あくまでも、そうしたターゲットにならない高校生たちが対象の企画です。

 今回〈あざみ野まなびの場〉を始めるにあたって、横浜市といろいろ話をしています。他の「高校生への学習支援」を参考にしたい、と思ったからです。
 ところが、何と、横浜市にはこれまで「高校生への学習支援」の実例、実績がまったくない!(小中学生向けはもちろんあります)
 〈あざみ野まなびの場〉は、まったくの白紙状態から立ち上げることになりました。現在、さまざまな方たちと話し合ったり相談したりしています。手探り状態で、募集方法や申し込み方法を考えています。
 〈あざみ野塾〉自体、まったく広告を打たず、HPと口コミで成り立っていますので、〈あざみ野まなびの場〉も大々的な告知を打つつもりはありません。横浜市、神奈川県や高校と連携しつつ、最初は1人や2人からでもいい。できる範囲のなかで、できるだけのことを丁寧に提供できる「学びの場」を用意したいと思っています。