「使える」英語

 

使える=実用的=話す/聞く?

 英語には4技能がある、といわれています。

  「読む」「書く」「聞く」「話す」

 従来の英語学習は「読む」に偏重していたので、これからは「話す」「聞く」を大事にすべきだ、そうした「実用」的な英語学習こそ重視すべきだ、とされているようです。

 では、「話す」「聞く」重視が本当に「実用」的なのでしょうか。

 というのは、少なくともインターネットを使っているかぎり、多くのHPで英語は「読む」ものだし、発信しようとすると英語を「書く」必要もあります。
 このページはWordPressで作られていますが、その使い方について知ろうとすると、英語表記の説明を読む必要が多々あります。Covid-19が本当に怖いなら、専門家の最新の研究を知りたくなると思いますが、それらは英語で書かれています。携帯ゲームの運営に問い合わせるのも、しばしば英語で書く必要があります。

 日本語環境に生きているかぎり、まず必要なのは「読む」「書く」であって、「話す」「聞く」を実際に活かす場面はほとんどありません。

バランスこそ大事、、、だけど

 たしかに「読む」がテストしやすいこともあって、これまでの英語学習が「読む」偏重になっていたことはまちがいでしょう。その意味で、「話す」「聞く」が重視されることに異論はありません。

 ただ、そのバランスが欠いていることはかなり問題です。
 4技能という以上、4技能をバランスよく身につけることが大切なはずです。

 が、それ以上の問題は、その結果として、文法の習熟が足りないこと、英語に触れる質と量が圧倒的に足りなくなっていることです。

 いやいや、文法問題、一生懸命解いているし、「話す」「聞く」の練習、かなり繰り返しているし、、、ということが大いなるかんちがいです。

 そもそも文法は英語を「使う」ためにあります。
 だから、良質な英語に大量に触れることは、本来、文法の勉強になりますし、英語を「使う」訓練になります。

 所詮、話し言葉は幼稚です。論理的でもなく、もしまちがったことを言っても聞き直すことができます。良質な英語とは、お世辞にもいえません。
 量においても、「話す」は圧倒的に足りません。
 「読む」方が、論理や語彙の点ではるかに良質であり、量的に多くの英語に触れることができます。

時代錯誤な提案

 「読む」重視、文法重視、というと、時代に逆行しているように聞えるかもしれませんが、、、

 英語を「使える」ようになるためには、良質な英語を経験することが必要で、、、

 良質な英語を経験するためには、「読む」ことが最も効率的で、、、

 異言語である英語を「読む」ためには、文法が必要です。

 文法は、問題を解くためにあるのではなく、英語を「読む」ためにあり、文法を習熟するためには英語を「読む」べきだ、ということです。それが、「話す」「聞く」ことの、そして「書く」ことの基礎になることを忘れてはならない、ということです。

 もし「使える」英語をめざすなら、「読む」なかで文法を習熟することが必要です。

小学生に求める「文法」

 おおげさな話は要らない、と思います。

 小学生も5、6年生になると、さまざまな理屈がわかるようになってきます。

 今学ぼうとしている英語にもルールがあって、それを理解し使えるようになると、英語を学びやすくなる。

 ということを実感すること——それだけでも、将来の英語学習をよい方向に変えていくはずです。「楽しい」だけの英語の勉強が本当に「楽しい」ものになるはずです。

 「使える」英語をめざすなら、文法を意識して「読む」ことも忘れないでね、というお話です。