1-2 「一般入試」って?

 「一般入試」というのは、文字通り、これまで「一般的」だと思われてきた入試形式です。
 ですが、大学が独自にやるペーパーテスト――では、、、足りません。
 大学入試センターによる試験=共通テストもまた「一般入試」の一つです。

国公立大学

  ⑴ 共通テスト:1次試験
  ⑵ 個別試験 :2次試験

私立大学

  ⑴ 共通テスト
       共通テスト利用入試
       共通テスト併用入試
  ⑵ 個別試験
       全学部入試
       学部別入試

 上に見るように、国公立大学はシンプルなので、私立大学について説明します。

 

私立大学:共通テスト

 「共通テスト」とは大学入試センターによる試験で、1月第3土日に実施されます。
 「共通テスト利用/併用入試」は、その得点が大学の合否に使われます。
 ほとんどの大学で利用できます

 共通テストを受験に利用できない大学は慶応大学くらい。

 よくある誤解は、受験科目の「数」。
 共通テストでは、受けたい科目、利用したい科目だけ受験すればよい
 私大志望者は、文系:3科目(英語、国語、社会or数学)、理系:3科目(英語、数学、理科)、または4科目(+現代文)が一般的。
 国公立大は一般に6教科8科目必要ですが、3科目で受験できるところもあります。

 共通テストは、1科目から受験できる
 しかも、、、
 「国語」の試験時間は90分だが、もし「現代文」(正確には「近代以降の文章」)だけを利用したいなら、それ以外を無視して、90分間「現代文」を解いてもかまわない。

 3科目受験よりも5科目受験の方が合格のボーダーラインは低い。

 B方式は、共通テスト3科目で受験できる。

 共通テスト3科目で受験できる。

 「共通テスト」を重視する意味については、「〈あざみ野塾〉の受験指導方針1:共通テスト中心」をご覧ください。

 

共通テスト利用/併用

 大学によって呼び方が違うので、かなりわかりにくいですが、、、
 私立大学で共通テストを利用する場合、「共通テストの得点だけで合否を決定するもの」と、「共通テスト+大学独自試験の合計点で合否を決定するもの」があります。

    共通テスト利用入試
    共通テスト併用入試

 こちらの方が主流です。
 ただ少し注意しなければならないのは、「共通テスト前に出願するパターン(前出願)」と「共通テスト後に出願するパターン(後出願)」の2種類があることです。

前出願後出願
出願の時期共通テスト前日まで共通テスト後まで可
共通テストの
得点
わからないまま出願自己採点でわかった上で出願
出願人数
/倍率
多め/高め少なめ/低め
比較的高得点争い超高得点争い

 前出願が一般的。
 共通テストの前日まで出願を受け付けているところがほとんど。

 3月に実施する私大入試(「3月入試」とか「後期試験」といわれる)では、共通テストの得点をそのまま使うところが多い。

 共通テスト一つで、さまざまな大学を受験することができるので、合格を辞退する人数も多く、募集人数に対する合格人数は非常に多い。
 募集人数10人といいながら、合格人数は100人を超えるのが一般的である。

 共通テスト利用入試は募集人数が少ないから使えない、というのは大いなる誤解
 平気で、10〜20倍の合格者が出る!

文学部
募集104→合格1172
11倍
異文化コミュニケーション学部

募集13→合格201
15倍

 最近では、こちらも増えています。
 共通テストを利用することはたしかですが、大学独自の試験もあり、正確には個別試験の一種。
 立教大学や上智大学のように、英語だけを利用する場合、それ以外の科目は大学独自の試験が課されます。

 英語は「外部試験」か「共通テスト」。
 それ以外は独自問題。

 早稲田大学や青山学院大学のように、複数科目を利用する場合、大学で受験する科目数は少なくなります。総合問題が出題されたり、大学独自の試験があったり、と多様です。

 +独自問題のパターン。

 一般的に、共通テスト利用入試()の入学検定料は18000円。個別試験は35000円。
 共通テスト併用入試()は個別試験扱いなので、35000円。

 ちなみに、入学検定料は、大学によってさまざま。
 定額で受け放題、2学部以降は割安、とか、受験生を呼び込むために各大学が工夫している。

 24専修大学

 

私立大学:個別試験

 個別試験は、一つの試験でどこの学部でも受けられる場合と学部ごとに独自の試験を行う場合があります。

    全学部入試
    学部別入試 

 「全学部入試」とは、大学単位で行う「共通テスト」のようなものです。一つの試験を受けて、複数の学部・学科を志望できます。
 その分、学部別入試より倍率は高くなり、合格の難易度が上がる、といわれています。が、募集人数に対する合格人数も、学部別入試より増えるので、一概にそうとはいえません。

 「学部別入試」とは、学部ごとに独自の試験を行うものです。
 「共通テスト併用入試」のところにも書きましたが、共通テストでの得点が算入される場合もかなり増えています。

 大学によると、「スカラシップ入試」とか「奨学生入試」という名前で、授業料の減免を前提とした入試もあります。
 実施の時期は大学によって違いますが、一般的には、12月後半か2月初め。
 難易度はかなり高く、たとえば、12月末にある東洋英和女子大学「スカラシップ入試」、神奈川大学「給費生試験」は、時期的に、共通テストの予行演習になることもあって、受験人数も多く、スカラシップ/給費生合格すれば早計上智確実といわれるくらいむずかしい。

 共通テストの予行演習になるが、合格発表は共通テスト直前。
 利用するかどうかは、受験生を選ぶかも。

  実質、「全学部入試」。

 一つの大学で、全学部入試と学部別入試を両方受ければ、過去問対策など、効率的な準備ができる!
 共通テストもうまく利用すれば、一般入試だけで、志望大学の志望学部を何度も受験できる。

 ちなみに、大学によっては、受験会場、受験日程が複数ある場合(地方大学に多い)、数日にわたる場合(2月初旬に入試がある大学に多い)もある。
 たとえば、関西の有名大学は、軒並み、東京受験ができる。