1-4 「一般入試」:共通テストの使い方〜私立大学1〜

 「一般入試」というのは、文字通り、これまで「一般的」だと思われてきた入試形式です。
 ですが、大学が独自にやるペーパーテスト――では、、、足りません。
 「一般入試」には、

    ⑴ 共通テスト:大学入試センターが行う試験
    ⑵ 個別試験:各大学が行う独自試験

があります。

 ここでは、「共通テスト」の使い方を私立大学について解説します。
 この章で扱うのは、「共通テスト利用入試」です。

私立大学の場合

 私立大学では、「一般入試」を中心に、共通テストを利用した入試が拡大しています。

 それを一般には「共通テスト利用入試」とか「共通テスト併用入試」といいますが、そう名乗らない場合にも、共通テストがかかわっていることが多々あります。

 早稲田大学の「一般選抜」は、多くの学部で、共通テストが必須になっています。
 立教大学の「一般入試」は、文学部以外、英語の独自試験をやらないで、共通テストか外部試験(英検やTEAPなど)の得点を用います。

 逆に、共通テストをまったく利用しない総合大学は慶応大学くらい。
 そして、、、医学部受験(特に医学部を中心とした大学)には、共通テストを利用できないことが多い

  私立大学医学部は、さまざまな点で、それ以外の学部と違うところがあります。
   受験の時期、検定料、地域枠などなど、、、章を改めて説明する予定。
   この章では、医学部を除いた一般的な説明をしています。

 共通テストを利用する入試は、「共通テストの得点だけで合否を決定するもの」=単独と、「共通テスト+大学独自試験の合計点で合否を決定するもの」=併用、に分かれます。
 一般的に、「単独」を「共通テスト利用入試」といい、「併用」を「共通テスト併用入試」といいます。が、あくまでも「一般的」であって大学によって名称が異なりますので、入試要項を確認してください。

共通テスト利用入試

 まず、共通テストの得点だけで合否を判断する単独方式について、見ていきましょう。

3教科受験とそれ以外

 私立大学志望者も国公立大学志望者も出願できるように、さまざまなパターンが用意されています。
 3教科受験とそれ以外に分けて考えていきます。

 共通テスト利用入試の主流は、3教科。
 私立大学の個別試験と同じ教科・科目を使って、合否を争います。
 国公立大学志望者も出願しますが、私立大学志望者の主戦場はここです。

 3教科受験というのは、、、実は、3科目受験とはかぎらない。 

【文系の場合】
 「英語」「国語」+「社会(地歴/公民)」or「数学」が一般的。

 「数学」を選択しても、「数学ⅠA」だけでいいことが多く、3教科3科目受験になる。
 「社会」「数学」「理科」「情報」から1科目選択、という場合もあり。

【理系の場合】
 「英語」「数学」「理科」が一般的。
 「数学」が「数学ⅠA」「数学ⅡBC」で2科目、「理科」は大学、学部学科によって1〜2科目。
 結果的に、3教科4科目受験か5科目受験になる。

 単独方式の最大の利点は、共通テスト1つでいくつもの大学を同時に出願できる=受験できることです。しかも、検定料が個別よりもずっと安い。

 共通テスト利用入試3教科受験は、私立大学志望者だけでなく、国公立大学志望者もこぞって出願します。それも、「滑り止め」から「チャレンジ校」まで。
 だから、倍率は高い。が、募集人数に対して、何十倍もの合格者を出しますので、臆せず出願してほしいと思います。

 ただ、やはり倍率が高いので、「本命」の合格はむずかしい。
 だから、共通テスト利用入試をうまく利用して、個別試験の受験を減らし、その空いた日時を「本命」の対策に充てる、というのが共通テスト利用入試の使い方の王道です。

 共通テスト利用入試が募集人数にくらべて合格人数がきわめて多いことについては、「1-2『一般入試』:共通テストとは」内の「25年上智大学文学部…共通テスト利用入試は合格者が多い!」をご覧ください。

 4教科以上の受験方式もあります。
 しかし、4教科以上になると、私立大学志望者は利用しにくくなります。

 4教科受験は、一般的には、文系では「英語」「国語」+「社会」「数学」で4教科、理系では「英語」「数学」+「理科」「国語」になります。
 理系の場合、増える「国語」が「現代文のみ」なら私立大学志望者も受験しやすいですが、次第に「フル(現代文/古文/漢文)」のところが増えています。

 4教科以上の受験方式では、私立大学志望者を排除して、国公立大学志望者に有利な状況を作ることで、私立大学が国公立大学志望者を呼び込もうとしているわけです。

 国公立大学志望者は、3教科でも4教科以上でも出願できますが、結局どちらが有利かは共通テストの結果次第です。得点率が8科目なら75%だが、3科目なら90%、などということは十分ありえます。

 では、どのように出願すべきでしょうか。

 その大学の志望順位が高く、かつ、お金が許すなら、両方出願すべきです。
 そうできないときには、模試の成績を参考にして、得点率の高くなるだろう方式を見きわめる必要があります。国公立志望者だから、4教科以上、などという決まりはありません。
 私立大学志望者には選択の余地がほぼないのですから、そうした〝贅沢〟が許されるのが国公立志望者だといえます。

 ここから、いくつかの実例を挙げていきます。

 見る際に注意してほしいのは、

  ① 「国語」の範囲…「現代文のみ」「現代文/古文」「フル(現代文/古文/漢文)」
  ② 「数学」の科目数…「数学ⅠA」「数学ⅡBC」。1科目なのか、2科目なのか。
  ③ 「理科」の科目数…1科目なのか、2科目なのか、大学によって学部学科によって違う。

 特に理系志望者は、「国語」の範囲、「理科」の科目数に注意してほしい。

【3教科受験】
外国語学部=文系
 「英語」「国語」「社会or数学」
 「数学」を選択する場合も、必要なのは「数学ⅠA」1科目なので、3科目受験

理工学部=理系
 「英語」「数学」「理科」
 上智大学理系学部は、「数学」×2、「理科」×2なので、5科目受験

【4教科受験】
経済学部=文系
 「英語」「国語」「社会」+「数学」
 こちらは、「数学ⅠA」「数学ⅡBC」が必要なので、5科目受験

理工学部=理系
 「英語」「数学」「理科」+「国語」
 「国語」がフル(現代文/古文/漢文)に必要なので、募集対象は国公立大学志望者。
 「数学」×2、「理科」×2と合わせて、6科目受験

 「国語」が現代文のみなので、理系の私立大学志望者も、受験が容易である。

 ただし、
  物理学科は、理科1科目。
  生命科学科/応用化学科は、理科2科目。

 科目を減らして受けやすくすることで、受験生を増やそうとする場合もあります。

 必須科目を除き、高得点上位2科目が使える。

 人間文化学部は、「国語」が現代文と古文のみ。漢文が不要。
 人間社会学部は、「国語」が現代文のみ

 「国語」の範囲を狭くすることでも、受験生を呼び込もうとしていることがわかる。

 逆に、科目数を増やして、露骨に国公立大志望者を呼び込もうとする場合もあります。

 5教科6科目が必要。
 結果的に、国公立大学志望者しか出願できない。早稲田大学は、共通テスト利用入試から、私立大学志望者を排除している。

 しかし、さまざまな受験パターンを作って、幅広く受験生を集めようとするのが一般的です。

 私立大学志望者向けの3科目受験、国公立大学志望者向けの6科目受験、というメリハリのある方式が用意されている。

 「国語」の範囲が型によって違っていることに注目。
 3科目受験は、現代文/古文
 6科目受験は、フル(現代文、古文、漢文)

 3科目方式は3/4、7科目方式は3/11
 国公立大学前期日程の合格発表は〜3/10

 7科目方式が、国公立大学志望者を意識していることがよくわかる。

 一番下の「3科目ベスト2型」は、高得点2科目で合否を判断する方式。実質、2科目受験。

 「前期」は、共通テスト前1月に出願する型。「後期」は、2月末、3月に出願する型。

 2出願まで検定料が同じであることにも注目。

 科目数と合格しやすさは相関関係(反比例関係)にあります。
 科目数が少ないほど受験生が多くなり、倍率が上がります。逆に、科目数が多いほど受験生は少なくなり、倍率が下がります。
 その意味では、国公立大学志望者は受験に必要な科目数が多いですが、共通テストをうまく利用すれば、私立大学に合格しやすい環境にあるといえます。

3教科受験

4教科受験

募集人数受験人数合格人数倍率合格人数/募集人数
外国語学部
3教科
13人1050人256人4.120倍
4教科13人358人145人2.511倍
総合グローバル学部
3教科
3人364人77人4.726倍
4教科2人167人51人3.326倍
理工学部
3教科
8人1209人300人3.538倍
4教科9人755人243人2.627倍

共通テスト利用入試は、募集人数が少なくても、合格人数が非常に多い。

3教科受験より4教科受験の方が倍率が低い。
 3教科受験は、私立大学志望者も国公立大学志望者も出願できるが、4教科受験は、国公立志望者しか出願できない。

⒝ 前出願と後出願

 共通テスト利用入試は、出願の時期で、「前出願」と「後出願」に分けられます。
 「前出願」は、共通テスト前日までに出願するもの。「後出願」は、共通テスト後、自己採点をした上で出願するものです。

 前期日程(1月下旬〜2月中旬)は、ほとんど「前出願」です。
 前期日程で「後出願」は一部の大学しかありません。
 しかし、(満足できる合格を得られなかった受験生たちの)敗者復活戦である後期日程(3月)では、共通テスト利用入試が多くの大学に採用されています。

前出願後出願(前期)後出願(後期)
出願の時期共通テスト前日まで共通テスト後まで可共通テスト後
共通テストの
得点
わからない自己採点自己採点
+前期日程の合否
出願人数
/倍率
多い/高い少ない/低い少ない/高い
大人数が予防的に出願。
高倍率争いになる。
・前期日程はほとんどこれ。
高得点の少人数が出願。
超高得点争いになりやすい。
・浪人したくない受験生が出願する。
高倍率高得点争いになる。
辞退率が低いので、合格人数は少ない。

  「前期出願の合否」…前期日程で出願した大学の合否で、実際の得点が推測できる。

【後出願できる主要な大学】
前期日程
 早稲田大学(政経学部/法学部/社会科学部/人間科学部/スポーツ科学部)
 中央大学(法学部5教科型)
 東京理科大学※1
 東京農業大学
 北里大学(未来工学部/理学部/獣医学部(獣医学科除く)/海洋生命科学部/医療衛生学部/健康科学部)

後期日程※2
 明治大学(商学部/理工学部/総合数理学部)
 中央大学(法学部/経済学部/商学部/文学部/総合政策学部/国際経営学部/国際情報学部)
 日本大学(経済学部/商学部/国際関係学部/理工学部/生産工学部/歯学部/松戸歯学部)
 東洋大学
 駒沢大学(法学部/仏教学部/経済学部/法学部/医療健康科学部)
 専修大学(経済学部/法学部/経営学部/商学部/文学部/ネットワーク情報学部)
 東京農業大学
 北里大学(理学部/獣医学部/医学部医学科/健康科学部)

 ※1 理学部第2部以外は、英語外部試験を受験資格として必要。
 ※2 「後期日程」…大学によっては、「中期日程/後期日程」「後期1期/後期2期」などと分けている場合もあるが、ここでは一つにまとめている。

前期選考
 5教科型:後出願
 3教科型:前出願

後期選考
 5教科型:後出願

募集人数受験人数合格人数倍率合格人数/募集人数
前期選考
3教科型
前出願125872402.420倍
前期選考
5教科型
後出願186250616261.58.7倍
後期選考
5教科型
後出願15239366.62.4倍

・「前期選考」の募集人数(3教科型:12人<5教科型:186人)を見ると、中央大学がいかに国公立大学志望者をほしがっているか、わかる。
 教科数の違い、出願時期の違いがあいまって、倍率がかなり違う(3教科型:2.4倍>5教科型:1.5倍)。

・5教科型で前期選考と後期選考を比べると、募集人数は186人>15人、倍率は1.5倍<6.6倍、合格人数/募集人数は8.7倍>2.4倍。
 後期選考は浪人したくない受験生が出願するので、辞退率が低く、もともと募集人数が少ないだけでなく、合格人数の水増しが少なく、倍率は非常に高い。

⒞ 検定料が安い、、、だけじゃない

 私立大学入試の検定料は、一般的に次のとおりです。

【私立大学入試検定料】
    共通テスト利用入試:15000円〜20000円
    個別試験     :30000円〜35000円

 共通テスト利用入試が個別試験よりもいかに安いか、よくわかります。

 が、この検定料が1受験あたりかどうかは大学によって違います。複数学部学科を受験しても同額であったり、複数学部学科受験すると割引があったりします。
 主要な大学を見てみましょう。

早稲田大学上智大学明治大学青山学院
大学
立教大学中央大学法政大学学習院大学
検定料20000円20000円18000円18000円18000円15000円18000円18000円
複数出願
割引
なしなしなしなしなしなしなしなし
備考同一学部複数方式を出願する場合は、割引あり。
東京理科
大学
日本大学東洋大学駒沢大学専修大学工学院大学国士舘大学昭和女子
大学
検定料19000円18000円2出願まで
20000円
2出願まで18000円2出願まで17000円15000円15000円2出願まで
15000円
割引なしなし3出願以上
1出願毎に
+10000円
3出願以上
1出願毎に
+9000円
3出願以上
1出願毎に
+9000円
2出願以上
1出願毎に
+10000円
2出願以上一律
20000円
3出願以上
1出願毎に
+10000円
備考歯学部のみ24000円。

 早稲田大学と上智大学(慶応大学は共通テスト利用入試がない!)は、1出願20000円。
 いわゆるGMARCHは、1出願18000円。
 いわゆる日東駒専は、日本大学を除き、2出願まで同額で、3出願以上になると1出願あたり約半額になる。

 大学によって、検定料を安くしたり割引をしたりすることで、出願しやすくしていることがわかると思います。