2-4 国公立か私立か

 2-3で見た国立大学/公立大学/私立大学の違いを踏まえて、、、

 どのような人が、どの大学を志望すればいいでしょうか。

大学から見ると、、、

 2-3で述べたことを簡単にまとめると、下のようになります。

大学のあり方学費
国立大学小規模教育
学問研究の中心地
安い
公立大学小規模教育
地元密着
安い
特に、地域出身者
私立大学大規模教育
キャリア教育中心
高い
文系<理系<<<医学部

学生への指導が手厚いのは

 学生と教員の距離が近いのが国公立大学。
 特に、公立大学は、非常に面倒見がいい。

 学生1人当たりの教員数は、私立大学より、国公立大学が多いので、学生への指導はその分国公立大学の方が手厚い、といえます。
 たとえば、国公立大学と私立大学では、ゼミの人数がまったく違います。

学費が安いのは

・ 国公立大学の方が圧倒的に学費が安い。
・ 理系、特に医学部では、国公立大学と私立大学の差は激しい。

 これは常識ですね。

 実習費がかさむせいで、理系学部では、私立大学の高額ぶりが目立ちます。

 ちなみに、6年間で比較すると、国立大学医学部(350万円)と私立大学医学部(3200万円)では9倍以上の開きがあります。

就職に有利なのは

・ キャリア教育がしっかりしているのが私立大学。
  キャリア形成のコースが用意されていたり、就活のサポート・指導が手厚かったり、、、
・ 女子大学生の就職は、女子大学が一番手厚い。

 私立大学が最も有利な点は、就職に強い、という点だといえます。
 正確にいえば、私立大学は、就職についてのサポートがしっかりしています。

 特に、大企業に就職することを考えたとき、有名私立大学が有利だと思われがちです。
 たしかに、ゼミとの関係、OBの数が多いことなど、有利な点もありますが、現在の就活ではその人の資質が一番重視されていますので、有名私立大学だから就職は安泰、と思うのはまちがいです。

 国公立大学出身者は数が少ないので目立たないですが、企業からの評価が高いので、私立大学に比べて大学からのサポートが少ないだけで、就職がむずかしいわけではありません。

 地方国立大学や公立大学は、ある意味、ご当地大学ですから、地元への就職がきわめて有利です。

研究職をめざすなら

・ 研究費が潤沢なのは、国立大学。
  だから、文系にしろ、理系にしろ、将来研究職をめざすなら国立大学がよい。

 国立大学ならどこでも大丈夫、と思うのは、危険です。
 地方国立大学には、予算がかつかつの研究室がたくさんあります。

 一方で、地方の有力企業と結びついた国立大学は、全国にあります。特定の分野、特定の企業への関心があるなら、調べてみてほしいと思います。
 たとえば、徳島大学は、青色ダイオードの特許をもつ日亜化学工業との結びつきの強い工学部、大塚製薬との結びつきの強い薬学部を抱えています。

 ここまでの話は、あくまでも比較の問題であって、私立大学にも、研究費が潤沢な研究室はあります。
 そうした意味での私立大学の御三家は、慶応大学、順天堂大学、早稲田大学でしょうか。

大学院に進学するなら

・ 大学院選びと大学選びは関係ない。

 卒業大学の大学院にそのまま進学するイメージが強いかもしれませんが、実際は、自分の志望にしたがって大学院を選択するのは大学受験とまったく同じです。
 私立大学から国立大学へ、国立大学から私立大学へ、というのも普通。

 大学院は、自分が師事したい教授や入りたい研究室を考えて選ぶので、国公立大学か私立大学かという選択になりません。

受験生から見ると、、、

必要な教科数一般入試の受験機会
国立大学⒍/7教科2回:前期/後期
公立大学⒍/7教科3回:前期/中期/後期
私立大学3教科多数

 ※ 現在、教科として、「社会」が「地歴」と「公民」に分かれており、「地歴」と「公民」から1科目ずつ取ると7教科になる。
   共通テストを前提にすると、一般的に、文系なら6/7教科8科目、理系なら6教科8科目必要。
   共通テストの教科/科目については、「1-2 一般入試:共通テストとは」をご覧ください。

受験に必要な科目

 一般的に、国公立大学は6/7教科、私立大学は3教科が必要です。

 教科数が少ないことが受験を楽にするとはかぎりません。受験生の資質と深くかかわっています。

 細かい知識をそのまま覚えるのがそれほど苦でないなら、私立大学向きかもしれません。
 一方、ものごとの原因理由が気になって、探求するのが好きなら、国公立大学向きかもしれません。

 いくらでもラベリングはできますが、自分が「おもしろそう」と思ったことを実現するためには何が必要か、考えることと、自分に合った勉強スタイルを模索することに尽きます。

 それに、大学に入ることはあくまでも「手段」にすぎないわけですから、教科数だけで国公立大学か私立大学かを決めるのはまちがいだといえます。

【教科と科目のウソ】
 大学入試において、「教科」とか「科目」という分けはかなりいいかげんで、理屈では説明できません。

 たとえば、「国語」という「教科」には、実は、「現代の国語」、「言語文化」、「論理国語」、「文学国語」、 「古典探究」という5「科目」がありますが、一般的な大学入試では、「現代文(近代以降の文章)」「古文(古典)」「漢文(古典)」という3「科目」に分けます。ところが、大学の入試要項では、「出題範囲」として「現代文」のみ、とか「現代文と古文」と書かれます。
 「国語」には、大学入試上、「科目」がないわけです。

 一方、「数学」という「教科」には、「数学Ⅰ」「数学Ⅱ」「数学Ⅲ」「数学A」「数学B」「数学C」という6「科目」があります。が、大学入試上は「数学Ⅰ」「数学ⅠA」「数学ⅡBC」「数学Ⅲ」と分け直して、「出題範囲」ではなく「科目」として扱われます。

 現在、「社会」という「教科」はありません。「地歴」と「公民」に分かれています。が、大学入試ではその2つの「教科」を実質1つの「教科」として扱っています。

 正直言って、訳わかりません。
 「教科」や「科目」の名前や数に惑わされず、それぞれの「出題範囲」をしっかり確認してください。

 私立大学の方が教科数が少なくても受験できることはたしかです。
 が、少ない教科数/科目数で受験できる国公立大学は存在します。

 たとえば、、、

 東京外国語大学国際社会学部後期なら、共通テスト:英語/国語+その他何でも1科目、2次試験:英語小論文、
 東京都立大学法学部前期なら、共通テストも2次試験も、英語/国語/地歴or数学。

 公立大学には、2〜3教科で受験できる学校はかなりありますので、要チェックです。

 教科を減らすことはできるが、増やすことは困難だ、ということを忘れてはなりません。

 それに、、、

 科目が多いということは、苦手科目があってもカバーできる、ということ。
 逆に、科目が少ないということは、苦手科目が致命的になりやすい、ということです。

【国公立大学をめざすなら】
 科目が多い、ということばかりに目が行ってはいけません。
 文系だろうが、理系だろうが、ポイントとなるのは、「古文」と「数学」。
 できるだけ高2までに目処をたてたい。

 高3になるときには、英数国の問題演習をしつつ、文系は社会、理系は理科を中心とする勉強に切り替えられることが理想です。

受験機会

 私立大学の最大の魅力は、受験できる学校や回数が多いことです。

 国公立大学と私立大学に分けて説明します。

国公立大学

 国立大学の一般入試は、前期(2/25)、後期(3/12)、受験機会が2回あります。
 公立大学の一般入試は、国立大学と同じ前期/後期に加えて、中期(3/8)があります。

 だからといって、すべての国立大に2回の受験機会、公立大学に3回の受験機会があるわけではありません。

【国立大学】
・ 前期日程で合格し入学手続をすると、後期日程を受験しても合格できない。
・ 後期日程の実施しない大学もある。
・ 前期日程と後期日程では、試験形式が違うことがほとんど。
  後期日程では、小論文や面接だけ、というパターンもあり。また、共通テストで必要とする教科数が少ないことが多いので、私立大学志望者でも受験できる可能性がある。
・ 後期日程の方が足切り点や倍率が高くなるが、(医学部以外)実際の倍率はそれほど高くないことが多い。

 国公立大学の後期日程は、ほとんどの入試が終わっている3月中旬(3/12)に実施されます。
 前期日程の発表は、一番遅いと、3/10。その翌々日が後期日程です。
 その時期、周りには合格している人だらけで遊びの計画が満載、、、それを無視できずに一緒に遊んでしまったり、(きっと前期で受かってると思って)勉強がおろそかになったり、すでにやる気が失って浪人する気でいたり、、、そもそも受けに来ない者も多い。
 国公立大学の後期日程は、しっかり準備ができるなら、実は大チャンス。

 上にも書いたように、、、

 東京外国語大学国際社会学部は、後期日程なら、共通テスト:英語/国語+その他何でも1科目、2次試験:英語小論文、なので、私立大学志望者も十分チャンスがあります。

【公立大学】
・ 中期日程を実施している大学はあまり多くない。
  26年、関東近辺では、都留文科大学と高崎経済大学経済学部のみ。
・ 公立大学には特別日程が許されていて、前期/中期/後期日程とは別で入試を行う大学がある。

 関東近辺では、中期日程を実施しているのは、2校しかありません。
 特に、都留文科大学(山梨)は、募集人数が中期日程中心。教育系が強い大学です。

 特別日程を実施している大学の1つが、国際教養大学(秋田)。英語教育で、日本で1、2を争う大学です。
 26年の場合、A日程(2/7)、B日程(2/21)、C日程(3/10)。他の国公立大学も併願可。前期/中期/後期日程を受けることができます。
 前期日程で合格し入学手続すると、後期日程では合格できませんが、特別日程の場合、合格し入学手続もできます。

私立大学

 私立大学の一般入試には、

   全学部入試
   学部別入試

の2種類があります。

 しかも、複数の日程や受験方式が用意され、同じ日程のなかで試験日が複数用意されていることも珍しくありません。しかも、全国に入試会場が用意されていることもあります。

 たとえば、立命館大学文系学部の26年全学部入試は、2/1〜4にわたり、4日間あります。会場も、全国14ヶ所以上あります。
 工学院大学の26年A日程(学部別入試)は、2/5〜8にわたり、4日間あります。そのうち、2/5と2/6は、全国17ヶ所で受験できます。

 忘れてほしくないのは、これ以外にも日程や受験方式があることです。

 実は、私立大学の一般入試は、文科省によって、2月1日からと決まっています。
 
 が、実際には、12月の年内入試から始まっているといっていいでしょう。

時期備考
年内入試12月・正確には、特別入試に分類される。が、実質ペーパーテストで合否が決まる。
・今後増える?
共通テスト1月第3土日・私立大学において、一般入試の軸の1つ。利用しない選択肢はない。
前期日程1月末〜
2月中旬
・フライングで1月末から始まる。
・一般入試のもう1つの軸。
中期日程2月下旬・国公立大学前期日程の裏。
・一部大学が実施。
後期日程3月・敗者復活戦。募集人数は少ない。
・共通テストを利用することも多い。
【年内入試】

 12月の年内入試は、正式には、一般入試ではなく特別入試。
 志望理由書が必要ですが、実質ペーパーテストで合否が決まります。併願可(キープして他大学を受けられる)の総合型選抜だけでなく、専願(受かったらそこに必ず入ると約束する)の公募制推薦もあります。

 関西では以前から多かったようですが、関東で有名なのは、神奈川大学給費生試験や東洋英和女子大学スカラシップ入試など。
 共通テスト前の練習、力試しに受けるように煽る塾・予備校が多く、ムダに難度が増していましたが、最近では落ち着いているようです。
 共通テスト前に合否が出るので、もし落ちていたらメンタルがやられるような人には勧められません。

 今後増える兆しがありますが、それを察して、現在、一般入試の前倒しになるような日程を文科省は強く規制しようとしています。

【共通テスト】

 共通テスト利用入試については、「1-4 『一般入試』:共通テストの使い方〜私立大学1〜」をご覧ください。

 私立大学を受験するにあたって、共通テストを軽視するのは自殺行為です。

【前期日程】

 国公立大学と違って、私立大学の前期/中期/後期というのは正式な呼称ではなく、慣例的に言われているものです。大学によって呼び名は違います。

 前期日程は、共通テストに並ぶ、一般入試の軸の1つです。
 2月の初旬から中旬にかけて、3週間ほどの間に私立大学の入試日が集中します。
 だから、本来は2月1日からと決められていますが、フライングする大学(特に医学部、女子大)が少なからずあって、実際は1月下旬から始まります。

 年内入試同様、このフライングにも、現在、文科省の規制が入っていて実施する大学は減少気味です。

 この前期日程で受験する大学の数をできるだけ抑えるのが、合格の秘訣。「数打ちゃ当たる」ではなく、受験する大学を厳選して、十分な過去問対策をして、入試に臨んでほしい。複数日程のある大学をうまく使って、受験校の数を減らしてほしいと思います。
 そのためにも、共通テスト利用入試をうまく使いたいものです。

【中期日程】

 国公立大学前期日程の裏にあたる2月下旬に実施する日程が中期日程です。
 一部の大学が行っています。

【後期日程】

 後期日程は、3月に行う敗者復活戦。
 ここでも、共通テストの得点を利用する方式が多く採用されています。

 前期日程でうまくいかなかった人たちが、浪人したくない思いで、少人数の募集に群がります。そのせいで、無意味に合格難度が上がることもあるようです。
 25年東洋大学文学部東洋思想文化学科では、合格最低点が90%を超えています。

 このように、受験機会が何度もあるのが、私立大学の魅力です。