2-2 文系? 理系?

 大学受験を考えるとき、まず選択しなければならない、とされるのが、文系か理系か、です。
 高2になるときに選択を迫られるのが普通ですから、高1の後半には決めなければならないでしょう。
 その際、何を目安にすればいいのか、ここでは考えます。

〜が苦手だから、、、

 一番やってはいけないのは、この「〜が苦手だから」です。

 たとえば、「数学が苦手だから文系」とか「国語が苦手だから理系」とか。
 たしかに、数学が苦手なら理系受験はしんどいでしょうし、国語が苦手で文系受験はしんどいでしょう。が、そうやって苦手から逃げていくと、大学受験の幅をどんどん狭めていくことになります。いやそれ以上に、今後の人生を考えると、最悪手といえるでしょう。

 では、どうすればいいでしょうか。

 結局、、、

  何がおもしろそうか
  将来何がしたいか

です。

 そんなことがわかるなら苦労しない、と思う人も多いでしょう。
 が、大学をめざすということは、大学で何かを「学ぶ」ということです。
 である以上、せめて「〜が苦手だから」ではなく、「〜がおもしろそうだから」という視点で、何を「学ぶ」かを選ぶべきです。

  生物がおもしろいと思ったら、数学が苦手でも理系でいい。
  三国志がおもしろいと思ったら、国語が苦手でも文系でいい。

ということを提案したいと思います。

 大学受験はただの手段であって、目的ではありません。
 目的は、自分の人生を充実させること――それを見失わないでください。

 それに、、、

 たしかに、この選択は人生を決める分岐点の「1つ」かもしれませんが、その選択が人生のすべてを決めることなどありません。
 だから、「とりあえずおもしろそう」を大切にすればいいですし、逆に、そこでした選択は、あくまでも仮決定にすぎませんから、いくらでもやりなおしのきくものだ、ということを忘れてはなりません。

文系と理系ではどこが違う?

 文系を選択する場合と理系を選択する場合でどのような違いがあるか、説明します。

科目選択

文系の場合

 国公立大学だろうが、私立大学だろうが、勉強の中心は、「英語」「国語」+「社会」or「数学」です。

 私立大学を受験する場合、「社会」の代わりに「数学」を選択できる場合があります。

 「英語」以外の各科目のポイントを下にまとめます。
 備考に書いたことは、個別入試だけでなく、共通テストでもいえることです。

科目備考
国語現代文/古文/漢文・大学によって、「現代文だけ」、「現代文/古文だけ(漢文なし)」の場合も。だから、古文や漢文が苦手でもどうにかなる?
社会
(地歴公民)
地歴:世界史/日本史/地理
公民:政経/倫理
・現在、社会は地歴と公民という2教科に分かれている。
・受験の幅を狭めたくないなら、「世界史」か「日本史」を選ぶべき。
数学数Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、数A・B・C
 →数ⅠA/数ⅡBC/数Ⅲ
・「数ⅠAだけ」、「数ⅠA/数ⅡBC」というのが一般的な出題範囲。文系では、数Ⅲは出題されない。

 ※ 科目名は、正式なものではなく、略しています。
   たとえば、「世界史」は「歴史総合/世界史探究」、「政経」は「公共/政治・経済」、「物理」は「物理起訴/物理」です。

 「国語」が苦手な人にとって、「国語」の出題範囲は、大学選びの重要なポイントになります。逆にいえば、古文や漢文が苦手でも受験する手段はある、ということです(受験しやすいということは、倍率が上がるということでもあります)。

理系の場合

 国公立大学だろうが、私立大学だろうが、勉強の中心は、「英語」「数学」「理科」です。

 「英語」以外の各科目のポイントを下にまとめます。
 備考に書いたことは、個別入試だけでなく、共通テストでもいえることです。

科目備考
数学数Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、数A・B・C
 →数ⅠA/数ⅡBC/数Ⅲ
・「数ⅠA/数ⅡBC」「数ⅠA/数ⅡBC/数Ⅲ」というのが一般的な出題範囲。大学によっては、「数ⅠAだけ」という場合もあり。
理科物理/化学/生物/地学・現実的には「物理」「化学」「生物」からの選択。分野、大学によって、求められる科目は違う。
・必要な科目数は要チェック。理科を1科目にするか、2科目にするか、によって、受験できる大学は変わる。
・「地学」で受験できるところはきわめて少ない。

 理系の場合、「数学」の出題範囲と「理科」の科目数は、大学選びの重要なポイントです。

 具体的にいえば、、、

 「数学」の場合、数Ⅲを選択するかどうか、です。
 志望する大学によって変わりますが、分野(学部学科)によっても変わりますから、自分の志望大学/分野に数Ⅲが必要かどうか、よく入試要項を確認してください。

 「理科」の場合、1科目選択なのか、2科目選択なのか、です。
 国公立大学、早慶上智は2科目要りますが、それ以外の大学も学部学科や受験方式によれば2科目必要です。
 志望分野によって、必要とされる科目が違うので、注意してください。特に、「生物」は、分野によっては使えず、逆に、必須になることもあります。

文転、理転は可能か?

 文系や理系というのは、一度決めると変更できないのでしょうか。

 結論からいうと、文転(理系→文系)はそれほどむずかしくないですが、理転(文系→理系)はけっこうしんどいです。

文転の場合

 文転する場合、障害になるのは、古文/漢文、そして社会です。

【古文/漢文】
 国公立大学をめざしていた理系は、そもそも共通テストで必要なので、それほど問題にならないかもしれません。
 大学によっては、現代文だけの受験もできます。ただ、古文や漢文を受験から外すと、それだけ大学選びの幅は狭くなることは覚悟しなければなりません。

【社会】
 社会の代わりに、数学が使える場合も多いので、こちらのハードルは越えやすい。
 しかし、社会を外せない場合、かなり苦労することを覚悟しなければなりません。

 結論として、、、

 「現代文」「数学」を選択できる受験方式を選べば、文転はそれほど苦労しません。
 むしろ、「数学」は満点もめざせる科目。「社会」選択者よりも有利なこともありえます。もちろん、「数学」に挫折して文転を考える人には通用しない戦法です。

理転の場合

 理転する場合、障害になるのは、数学、そして理科です。

【数学】
 国公立大学をめざしていた文系は、共通テストで数ⅡBCまで必要なので、受ける大学によっては問題ないかもしれません。
 が、数Ⅲまで必要なら、大問題でしょう。

【理科】
 国公立大学をめざしていた文系は、理科の基礎科目を準備しているはずですが、それでは理系受験にはまったく足りません。
 ましてや、2科目必要な大学をめざすのはかなり困難だとしかいえないでしょう。

 ※ 基礎科目=「基礎物理」「基礎化学」「基礎生物」「基礎地学」。
   共通テストでは、このうちの2つを組み合わせて、1科目として扱う。一般的な文系受験者は、理科として、基礎科目を使う。

 結論として、、、

 理転は、数学にしろ、理科にしろ、かなり苦労しますから、現実的ではありません。
 理転したいなら、(浪人も視野に入れるような)覚悟が要るでしょう。

 もちろん、共通テスト利用入試を使って、数Ⅲを回避し、理科以外の科目(たとえば、社会や情報)を使える大学を探すなど、可能性はゼロではありません。

大学選び〜文系は広く、理系は狭く〜

 実際に受験する大学を探そうとするとき、文系と理系では考えることが相当違います。

文系の場合

 文系学部は、概して、学部学科の垣根が低い。
 学部学科が違っても、ある程度、自分の志望する分野の勉強ができます。

 たとえば、ロースクール(法科大学院)に進学したいなら、法学部であるべきですが、法律に興味があるだけなら、法学部以外も選択肢になります。
 社会学の勉強は、極論すれば、どの学部でもできます。

 ※ 法学部以外を卒業しても、ロースクールには進学できます。法学部出身者は2年制、それ以外は3年制になります。

 気をつけるとすれば、(ロースクールの例でもわかるように)取れる資格が違うことでしょうか。
 特定の資格を取りたいなら、学部学科選びは慎重にしましょう。

 結論として、、、

 文系の場合、学部学科選びはかなりアバウトでも許されます。
 学部学科ではなく大学「名」で受験校を決めることもできるのが文系です。

 早稲田大学に行きたいから、といって、学部を問わず受験してもかまわないのは、文系だからです。

理系の場合

 理系は、学部学科が異なれば、やっていることがかなり違います。だから、学部学科まで明確に決めないと受験できないのが、理系です。

 最初に、「〜が苦手だから」と文系理系を決めてはならない、と書きましたが、特に理系選択者は、「〜が苦手だから」では、この学部学科選びに苦労します。
 ぜひ、「〜がおもしろそうだから」で理系を決めてほしい。そうすると、学部学科選びもスムーズにいきます。