〈あざみ野塾〉はなぜ浪人生が出ないのか?

以下の記事は、2017年のものです。

 《あざみ野塾》は、今春(17年当時)で5年目を迎えます。
 卒塾生を3回出しました(もうすぐ4回目)。

 私たちにとっては普通のことでしたので、大して意識していなかったのですが、、、
 15年、16年と2年連続、卒塾生に浪人がいませんでした
 もちろん、全員が第一志望合格、というわけではありませんでしたが、全員が納得して進学してくれました。

 《あざみ野塾》は受験生が10人にも満たない小さな塾ですから、たまたまが続いたともいえます。が、もしそれが偶然だとしても、私たちが大切にしていることが2つあります。

  ① 2月に受験する大学を極力減らすこと
  ② 本人(そして保護者)としっかり話し合うこと


 大学受験は〈数打ちゃ当たる〉と思っていませんか。

 そういう方には、〈2月に受験する大学を極力減らす〉というのは意外かもしれません。
 しかし、受験する大学が減れば減るほど、1つ1つの大学への準備はより充実します。
 逆に、受験する大学が増えれば増えるほど、1つ一つの大学への準備を十分にはできなくなります。しかも、大学を毎日のように受験しにいくことで、受験生は心身ともすり減っていき、合格の可能性はより減ります。

 では、どうやって〈2月に受験する大学を極力減らす〉ことができるのでしょうか。
 それは、〈センター試験を受験の軸に据える〉ことです。

「共通テスト」を中心にする意味・意義

 私たちから見ると、センター試験の重要性がよくわかっていない「高校/塾/予備校」が多いように感じます。
 もちろん、ほとんどの「高校/塾/予備校」が「センター試験は大事!」と声高にいっています。が、センター試験を十分に活かす受験指導ができているか、それを受験生に徹底できているか、はかなり疑問です。

 合格ラインぎりぎりにいる国公立志望者で、二次試験の勉強ばかりして、センター試験で失敗し足切りされてしまう受験生がたくさんいます。
 中途半端な「進学校」に多いケースですが、「第一志望だから」「一流大学しか行きたくないから」といって、受かりもしない大学ばかりセンター出願(センター利用入試の出願)する受験生も跡を絶ちません。
 逆に、合格実績を増やすために、「できる」受験生には受験する大学(センター利用入試の出願も含め)を増やすように指導する「高校/塾/予備校」もあります。

 第一志望に受かるために、満足のいく受験をするために、センター試験は「うまく」使わなければなりません。

 たとえば、、、

【国公立志望者の場合】
 センター試験に成功すれば、二次試験対策の時間は十分にあります。
 約600時間(約40日×15時間/1日)——これがセンター試験から二次試験までの勉強時間です。私大受験が1つ増えるたびに勉強時間が15時間ずつ減りますから、センター試験で成功すればするほど(2月によけいな私大を受験する必要がなくなればなくなるほど)、十分な二次対策ができるわけです。
 にもかかわらず、二次試験の勉強ばかりするのは、受験戦略として完全に失敗です。センター試験を重視することで、国公立受験に必須の基礎力も養われますし、現実問題として、直前期に二次対策の時間的余裕も生まれるわけですから。

【中途半端な「進学校」の場合】
 受かりそうにない大学にばかり出願したり、同じような合否ラインの大学にばかり出願したり、お金の無駄になるようなセンター出願をよく見かけます。「どうせ行かないのだから」と言って、偏差値の低い大学に出願しないことも多い。
 が、センター出願の意義は(お金の無駄にしかならない)プライドを満たすことではありません。
 センター試験は、その年の受験生ほとんど全員が受ける試験です。本人がどう考えようと、どういいわけしようと、センター試験の結果は、その年の受験生のリアルなランキングです。
 ですから、失敗して、2月に受験する大学を減らせなくても、センター試験は、自分の(1月の時点での)実力がどれくらいなのか、をはっきりさせてくれます。自己採点ではダメです。「現実」の合否として、自分がここまで受かったんだ、あるいは、ここしか受からなかったんだ、と実感する必要があります。
 その「現実」が、2月の受験本番に活きてくるのです。

 もちろん、「合格したら必ず進学しろ」などとは指導しません。しかし、浪人するなら、どこかに合格しているべきです。合格している大学がない「から」浪人するのではなく、合格している大学がある「けど」浪人するというのが「正しい」浪人のあり方だと指導しています。
 「努力」や「結果」を来年に先送りするような浪人ではなく、今できる精一杯のことをした結果として浪人という選択肢を選ぶなら、浪人することに反対しません。


 こうした受験方針を徹底させるためにも、塾生や保護者の方との話し合いはとても重要です。
 《あざみ野塾》が小さな塾である強みは、ここにあります。

 そもそも、塾生とは、「ブートキャンプ」を通じて、日常的に、将来について、志望について話しています。
 保護者の方には、月末に報告メールを差し上げていますが、気になることがあると、電話を差し上げたり、面談したりしています。

 11月になると、塾生とも保護者の方とも、具体的な受験に向けて、面談を繰り返します。しかし、塾生と保護者の意見が食い違ったり、コミュニケーションが不足していたり、、、受験が近づくと、その話し合い(面談や電話)が夜中に及ぶこともしばしばあります。

 「塾」として当たり前のことといえば当たり前ですが、実際はそうではないようです。
 《あざみ野塾》が「小さな塾」だからこそできること、しなければならないことがここにあります。

 《あざみ野塾》は大学受験の専門塾です。
 《あざみ野塾》のスタッフは受験指導のプロです。

 私たちにできることはかぎられているかもしれませんが、親身になるだけでなく、十分に情報を収集して話し合っていきたいと思っています。