「共通テスト」を中心にする意味・意義

 以下の文章は、センター試験について述べたものですが、共通テストに関しても同じことがいえるので、文言を変えないで、そのまま公開します。

 センター試験と共通テストの一番の違いは、内容面です。
センター試験は、大学で「学問」を学ぶために必要な学力を試すものでしたが、共通テストは、実社会において役立つ知識や技術を試すものに変質しています。これまでは、企業が負担してきた社員教育のコストを大学に丸投げしようとしているわけです。それがよいかどうかは評価の分かれるところでしょう。しかし、少なくとも、共通テストの英語を見ると、従来の大学入試にはあった、大学に入ってから専門書や論文を読むための力を試すような問題は影を潜め、日常生活や仕事で使えるかどうかを試すような問題に変わっています。それが「学問」をする場への入り口といえるのか、はかなり疑問であることは否定できないでしょう。


 が、そうした変質とは関係なく、大学受験における共通テストの意味・意義は、センター試験とまったく変わりありません。ですので、以下の文章では、「センター試験」を「共通テスト」と読み替えてお読みください。

※ 「共通テスト」中心と声高にいうと、〈あざみ野塾〉では「共通テスト」対策しかしないのか、と勘違いする方がいらっしゃいます。しかし、〈あざみ野塾〉のほとんどの授業は国公立大の二次や私大の個別試験を教材として扱っていますから、まったくの的外れです。むしろ、授業で十分に「共通テスト」以外を対策できているからこそ、自分でしっかり過去問演習(「共通テスト」がまだ実施年数が少ないので、「センター試験」で練習している科目が多いですが)をやれ、と塾生に言っているのです。実は、受験生にとって最大の難敵は、時間との戦いです。それを克服するためには、徹底的な演習・練習しかないはずです。

〈あざみ野塾/あざみ野予備校〉では、センター試験を中心に据えた受験を勧めます。
 もちろん、それ以外の受験のしかたを否定するものではありません。実際、AO入試や2月の個別試験で合格をめざす塾生もいます。

 しかし、センター試験をうまく使うことで、どれほど大学受験が有利に進められることか。

 ポイントは2つです。

  ① 受験勉強の〆を1月半ばにできること
  ② 2月に受験する大学を減らせること

 センター試験は、高校で勉強した基本が試されています。しかも、私大や国公立大二次に比べて、非常に素直な問題作りをしています。
 こうした基礎力の確認が1月半ばにできるメリットは、とても大きいといえます。

【センター試験に成功した場合】
 センター試験は、一度の試験で同時に多くの私立大学に出願できます。ですから、もし成功すれば、2月に受けるはずだった大学(いわゆる「滑り止め」)の多くを受けずに済みます。その分、「本命」の準備ができる。特に、国公立大志望者は、二次試験対策が十分にできる。
 センター試験(1/14・15〜1/19・20)から二次試験(2/25・26)まで約600時間(約40日×15時間/1日)勉強時間があります。二次対策には十分な時間です。が、2月に私大を受験すればするほど、その時間(1日あたり15時間)は減っていきます。
 特に、チャレンジ組(合格できるかどうかわからない受験生)には肝に銘じておいてほしいことです。二次試験の勉強ばかりした結果、センター試験を失敗し、足切りにあったり、2月に私大受験に追われたり、、、というありがちなシナリオではなく、センターまではセンターの勉強に集中する、という思い切った(本当は正当な)作戦をとるべきです。
 私大・二次対策はセンター試験が終るまでまったくやる必要がない、といっているのではありません。少なくとも〈あざみ野塾/あざみ野予備校〉では、授業の内容が私大・二次対策そのものです。だから、それを信じて、自分でやる勉強はセンター試験対策中心にしろ、と言っているのです。それが結果的に、受験全体に役立つ基礎力をつけることにもつながります。

【センター試験を失敗した場合】
 この場合も、メリットがあります。
 それは、1月時点での自分の実力を測れることです。自分のやってきた勉強のよいところ、悪いところがあぶりだせ、2月に向けて、軌道修正できます。
 そのためには、センター試験を真剣に受けなければなりません。
 私大志望者にありがちですが、2月だけが試験の本番だと思っている受験生は、センター試験を軽視します。もちろん、受験勉強の〆は2月目標になる。そうした姿勢でセンター試験を受けても、失敗するのは当たり前であって、センター利用での合格はまともにとれず、最悪、毎日のように受験するはめに陥ります。
 大事なことは、センター試験を十分に準備すること、そして、その結果を真摯に受け止めること、です。
 2月の個別試験の前に、自分の勉強の可否をチェックできる最良のチャンスを逃してはいけません。センター試験は、大学入試の「本番」であり(だから、成功すれば大学合格という特典が付いてくる)、だからこそ、自分の実力を測れる最もリアルな「模試」だといえます。